予選プールAの最終戦、日本が見事にスコットランド戦に勝利しました!
試合前から、お互いのヘッドコーチ同士の舌戦もあったので嫌でも試合に引き込まれる展開でしたね。
今回の試合自体も、4年前のスコットランドとの因縁を知っているファンには堪らない展開だったのではないでしょうか?
それにしても日本代表の試合はどうしてこんなにスリリングな展開ばかりなんでしょう笑
それでは昨日、終ったばかりの日本とスコットランドとの1戦を振り返ってみたいと思います。
目次
日本とスコットランドは最初から総力戦
試合を観ていると、無意識のうちにて体が動いてしまってる自分がいました。
ジャッカルするとつい手を叩き、終わるとぐったりする試合です。
これまでの試合以上に、スコットランド戦も激しい死闘となりました。
両チーム控え選手も全員出場するという総力戦で、言うまでもなく最後の最後まで緊張感のあるいい試合でした。
試合の様子を見ていると、日本はおそらくキックオフから勝負を賭けていたように思います。
その根拠は、これまで途中から参戦していた福岡堅樹選手を先発で起用してきた点です。
その他にも現時点で考えうるベストな布陣をひいてきました。
つまり先手を取って優位にゲームを進めないとスコットランドの術中に嵌る危険性があると指揮官のジェイミーヘッドコーチは考えたのではないでしょうか?
戦前から警戒していたのはスコットランドの9番、10番、15番のセンターラインです。
つまり、レイドロー選手・ラッセル選手・ホッグ選手の3人でした。
警戒していた理由はシンプルです。
この3人がほとんどの得点の場面に絡んでいるのと、キックを含めて相手を撹乱するのが巧みだからです。
もちろん前提として、強固なフォワードがあるからこその戦術です。
得点力のあるこの3人を調子に乗らせると怖いのは、日本との過去の対戦からもわかっていました。
【ラグビーW杯 日本×スコットランド戦】
前半、突進する姫野(右)
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— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) October 13, 2019
日本のココが凄い!『反則の少ないプレー』
この試合のテーマはどうやってファウルを減らすか?
それがまず課題と言えました。
レイドローのキックが正確で得点力があるとは言え、ペナルティキック自体が減れば得点シーンは生まれないからです。
総合力に優れたチームに実践するのは簡単ではないですが、スコットランドの得点力を少しでも削るには有効な作戦です。
そして、日本は思惑通りにファウルを減らすことができたのです。
日本だけでなく、どちらのチームも無駄な反則は少なかったように感じました。
スコットランドにとっても、決勝トーナメントに進出するには日本に7点以上の点差をつけて勝つことが最低条件でしたから、日本にペナルティキックを与えないような戦術だったのでしょう。
日本のココが凄い!『先取点を取られた後のトライ』
お互いのチームが反則が少なかったことで、より引き締まった試合展開になりました。
それにしても日本のパスワークは見事でした。
ラッセル選手とホッグ選手は、今までの試合のようにもう少し日本を掻き乱せると思っていたのではないでしょうか?
試合中のラッセルはどこか納得のいかない表情に見えました。
先に得点したのはスコットランドでした。
以前の両チームの力関係なら、ここから一気に相手に押し込まれてもおかしくない状況だったと思います。
しかし、日本は慌てなかった。
『世界一厳しい』と言われる地獄の合宿を年間240日もしてきたのです。
アイルランドにも勝って自信もつけています。
相手が強豪スコットランドだとしても想定通りと言うか、慌てる必要もなかったのでしょう。
問題はその後です。先取点を取られた後、スコットランドに2トライ目を続けて許すのか?日本が追いすがるのか?
非情に注目されました。
結果は、10分後に松島幸太朗選手がトライを取り同点になりました。
日本がPGを外した直後でしたから気持ち的にも「よし!いけるぞ!」とチームもファンも感じたトライでした。
28 – 21
おめでとう日本#RWC2019 #JPNvSCO #RWC横浜 pic.twitter.com/2FqGMnP4sU— ラグビーワールドカップ (@rugbyworldcupjp) October 13, 2019
日本のココが凄い!『解禁したオフロードパス』
しかし、26分の稲垣啓太選手のトライは見事でしたね。
何度も繰り返して見ましたが、その度に感動しました。
タックルされて倒れながらのオフロードパスで繋いで繋いで、ギリギリのパスワークでも繋ぎ切った。
今大会から解禁されたとも言うべき日本の得意技がここで繋がりました。
このトライで多くのファンは、「今日は勝てる!」と感じたんじゃないですかね。
その後は福岡選手が前半と後半で立て続けに2トライを奪いました。
センスというのか嗅覚なのか、ほんといいところにポジショニングしている選手だと思います。
ラファエレ選手の小さいキックも絶妙でしたね。
日本のココが凄い!『最後までキレないスタミナと集中力』
普通なら後半の最初のトライで勝負ありと言いたいところですが、さすがそこはスコットランド、そこからがこの試合の本当の勝負でした。
点差が開いて油断したわけではないと思いますが、選手を大幅に入れ替えてきたスコットランドが一気に攻勢に出てきました。
後半12分にはレイドローですら交代させてスピード勝負に出てきた感じでした。
日本は実際かなり攻め込まれましたし、密集での攻防がさらに激しくなっていきます。
日本は目立つミスはほとんどありませんでしたが、唯一ラインアウトはかなり苦戦しましたね。
その分スクラムの踏ん張りとパスの精度でなんとか凌いだ印象です。
むしろそれ以上にスコットランドのディフェンスが強くて、この試合に対する姿勢が見て取れました。
具選手やリーチマイケルが負傷したのも相手の攻撃の激しさを象徴していたシーンでした。
後半15分の相手トライ以降はもう意地と意地のぶつかり合い、気力勝負の時間でしたが、トライだけがラグビーの面白さじゃないというのを改めて感じた時間でした。
日本は最後までよく耐えましたね。
力を出し切れば勝てるだろうと挑んだ試合、でもそう簡単には勝たせてくれないスコットランド、結果的にはやっぱり名勝負になりました。
この試合、台風の直後だけにいろんな意味合いがあったように思われます。
前代未聞の3試合中止、特に同日釜石で予定されたカナダ対ナミビアはなんとか見たいと思いましたが残念でした。
強いか弱いかだけでは語れないものがラグビーにはあるように思います。
成績が残せなかった両チーム、それでも観たいと思ったファンは多かったと聞きます。
カナダの選手がボランティアに参加し、ナミビアの選手はファンとの親交をかって出てくれました。
それだけでも私たちは日本国民として感謝と敬意を持たなければならないと思わなければならないですね。
今後、もし日本が逆に立場になったらチームも国民もお返ししないといけませんね。
今回、日本・スコットランド戦が台風の影響で中止になったら戦わずして日本はベスト8進出でした。
しかし戦わずして勝ち上がることを「男らしくない」と言ったレメキ選手の言葉は日本チーム全員の気持ちだと確信しました。
スコットランドと戦って勝つことしか考えていませんでした。
いろんな思惑が入り混じって、もう勝つこと以外に納得のしようがない状況の中の勝利だったのだと思います。
「スコットランドをボコりたい」
試合の数日前に珍しく言葉を選ばなかったリーチマイケル。
試合が終わった直後の表情は嬉しいというよりどこかホッとしたような穏やかな笑みを浮かべていたのが印象的でした。
夢が叶った pic.twitter.com/89CGleK3BR
— YUU TAMURA19 (@YUUTAMURA19) October 13, 2019