私は40代男性です。
正月に帰省した目的は、小学校6年生の時のクラスメイトで同窓会をすることでした。
ほとんどの人とは、20年以上も会っていないので楽しみでした。
さて会場に着いて周りを見渡すと、想像していた懐かしい顔ぶれ…ではなく、「見知らぬ男女の集まり」のような様相を呈していました。
「これ何の集まりだっけ?」
と思わず口に出そうな状況です。
一通り参加メンバーの顔を見て、ようやく何人かは名前と顔が一致するという有様です。
それにしても、男と言えば担任の先生よりも髪が薄かったり、太りすぎて全く面影がない連中ばかりです。
まあ自分もそのうちの一人なのでしょうが…。
それでも、職業を聞くとそれはそれでまた衝撃でした。
病院を継いだやつが一番儲かってるだろうという話をしていたのに、教師になってから40代で次期校長になるなんてやつもいました。
今後どこまで上り詰めるのか?と思ってしまいます。
男性陣で圧倒的に多かった職業はやはりサラリーマン、会社員でしたね。
自分もそのうちの一人です。
面白かったのが当時の卒業文集が会場に置いてあり、それを皆で見た時です。
そこには将来の夢が書かれたページがあり、「現実は厳しいね~」と口にしながら談笑していました。
驚いたのは、私の【夢】を見た時です。
完全に記憶から抜けていたのですが、そこには何と
「サラリーマンになりたい」
と書かれていたのです。
それを見た同級生たちは一斉に「オーー!!」と歓声を上げました。
何で小学生なのに「サラリーマン」なんて夢のない職業を書いてしまったのか?
変に落ち込み、「その歓声やめてくれー!来るんじゃなかった」と恥ずかしくなりました。
その後、実家に帰り自分の文集を引っ張り出してそのページを眺めていると、書いた当時の心境が徐々に思い出されてきました。
「あのマンガだ…」
そうです。
『サラリーマン金太郎』です。
私の兄が好きで買っていたのを、当時わたしはよく読んでいたのです。
暴走族あがりの主人公が、サラリーマン社会で破天荒な発想と神をも恐れない度胸・行動力で困難な問題を突破していくというストーリーでした。
読んでいて子供ながらに面白い!と、当時は夢中になった漫画でした。
主人公の金太郎がとにかく格好良くて、筋が通っていて言葉や行動が男らしくて最高なんです。
まさに“憧れの大人”でした。
実際の私はというと、《金太郎》のように転職を繰り返すようなこともなく、ずっと同じ職場で平凡なサラリーマンをしています。
「今の自分は夢が実現したと言えるのか?」
そこそこの偏差値の高校と大学を出て、そこそこの規模の会社に就職しました。
初任給をもらった時は「やった!」という手ごたえは確かにありました。
これが夢がかなった瞬間だったのか…そこは自分でも疑問ですが。
先日、勤続20年のメモリアル休暇をもらいました。
「この勤続年数こそが、本物のサラリーマンになったという夢の実現の確固たる証拠なのかも」
と妙な自信が湧いて来ました。
この20年間、誰にでも分かるような大きな実績は残していません。
ただ、営業部から始まり企画部、業務部と転々としながら自分の出来る仕事を全力でやってきたつもりです。
今回の同窓会の集まりでは、学校を卒業してから一貫して同じ職場という人は自分を入れて4人だけでした。
見た目では《金太郎》に100%負けていますが、小学校の時になりたい!と憧れたサラリーマン的要素は濃くなっている気もします。
「自分なりに頑張ってきた」
と胸を張って言えることが何より嬉しく、自分を誇らしく思えます。
当時、憧れたサラリーマンです。
漫画のようにはいかなくとも、自分の目指すサラリーマン像をこれからも追い求めていこうと思います。
何年かぶりに《サラリーマン金太郎》を読みながら、これからも家族のために「サラリーマン頑張ろう!」と自分ひとりで決意表明しました。