現在40代の方に質問です。
子供の頃に影響を受けたTVドラマは何ですか?
『スケバン刑事』
『毎度おさわがせします』
『ママはアイドル』
『パパはニュースキャスター』…
まだまだたくさんありますが、その中でも主人公の強烈な個性と32年という長い年月をかけて放送され一時は社会現象にもなったオバケ番組があります。
そのドラマは
『3年B組金八先生』
です。
このドラマは昭和54年から放送を開始して、実に32年間もの長きにわたりTBSで放送されていた人気学園ドラマです。
主役の「坂本金八先生」役を演じていたのは、おなじみ武田鉄矢さんです。
なぜ「金八先生」がこんなにも日本人の心を掴むほどの人気番組になったのか?
当時を思い出しながら今回おさらいしてみたいと思います。
「金八先生」の長髪スタイルで視聴者の関心をつかむ
俳優「武田鉄矢」さんの名演技は素晴らしく、見る人すべてを惹きこむ魅力がありました。
ルックス的には決して格好良いとは言えない先生が、あの長髪を振りかざしながら何をしゃべるのか?
その熱弁する姿に注目していたものです。
もし「金八先生」がジャニーズのイケメンだったら、言葉に惹き込まれることはなかったと思います。
「お前みたいなハンサムが人生のなんたるかを偉そうに語るんじゃないよ」
と、不細工のひがみ根性も加わってしらけたと思います。
「金八先生」はその後のシリーズで髪を切っていたらしいのですが、あまり記憶には残っていません。
最初のインパクトが強すぎたせいか、「大阪と言えばたこ焼き」と同じくらい「金八先生と言えば長髪」とイメージが定着しちゃいましたね。
そのくらい強いインパクトを残しました。
テレビのイメージ戦略としては大成功ですよね。
A「ドラマの金八先生おもしろいね」
B「金八先生って何?」
A「知らないの?ほら、あの長髪の…」
B「あ~!分かった!」
って感じで世間に浸透していくスピードも早かったのではないでしょうか?
現実社会には現れなかった「金八先生」
40代の方が『3年B組金八先生』を観ていたのは、小学生くらいの頃ではないでしょうか?
自分たちより少し年上の中学生のお話でしたが、影響を受けた子供は多かったと思います。
「金八先生」の専門は国語でしたが、中学に進学した筆者に待っていたのは女性の国語の先生でした。
現実に「金八先生」はいるわけないのに、少しでも期待していた自分はまだ幼かったのでしょう。
その後の人生に影響を与えるような存在感を残した「金八先生」はついに現れませんでした。
人間として教師として強い信念を持ち、生徒と真剣に向き合っていく熱意ある先生はドラマの中だけの話だったのです。
「いつか金八先生のような先生が現れるのではないか?」
期待をこめて進学した小学生が筆者を含めたくさんいたと思いますが、現実はドラマのようにはいきません。
今、残念に思うのは教育界がこのブームに乗れなかったことです。
当時、全国の学校では不良が増えてイジメが社会問題になっていた時代です。
学校教育の重要性が叫ばれていた当時、「金八先生」のような熱意ある教師が登場したら校内や父兄の間で話題になり全国的にも教育改革が進んだろうに…と思います。
幸せになろうと思わないで下さい。 幸せをつかみに行って幸せをつかんだ人は 1人もいません。 幸せは感じるものです。
金八先生 pic.twitter.com/WJR5p2P6xU
— 【有名人のマインド】を知ろう (@1423maind) October 19, 2019
金八先生の凄さは『つかみ』からの話術
持論ですが、教師はまず生徒から注目されてなんぼです。
いくら教師のお手本のような演説をしたところで、生徒からそっぽを向かれていては意味がありません。
「金八先生」のように見た目でまず人の注目を集めて、吐く言葉で人を惹きこむのはギャップの大きさから印象に残りやすく、相手にメッセージを届ける手段としては非常に効果的です。
それを裏付ける経験を筆者もしました。
予備校に通っていた当時、関東にある本校からやり手の講師が来た際に、その講師の「つかみ」と「話術」にカルチャーショックを受けました。
その先生はニコニコと恵比寿様のような笑顔と大きな声が特徴でした。
他の講師の時は、授業前からダラダラと私語が止まない教室でしたが、この講師は授業が始まって最初の5分間で生徒全員のハートを掴みました。
見た目の特徴と、仕込んでいたであろう「東京の面白ネタ」で毎回、生徒全員の注目をさらっていたのです。
ただ「金八先生」と違ったのは、『人生を教えてくれる』先生と『勉強だけを教えてくれる』先生の違いでした。
「金八先生」は当時の子供にとって、唯一無二の存在であり人生の師でもあったのです。
ちょと言い過ぎかな?笑
『3年B組金八先生』
日本の学園ドラマの金字塔と称される作品。第1シリーズは、1979年10月開始。それから32年間にわたって、TBS系で断続的に制作・放送されました。中学校の教員である坂本金八が、3年B組内に起こる様々な問題を体当たりで解決していくお話です。
「3年B組ー!」「金八先生ー!」 pic.twitter.com/v59i2MW2LM
— レトロの旅 (@ret_journey) October 8, 2019
生徒達と一緒に泣き笑い、「金八先生」は最高の教師
ドラマ「金八先生」には毎年たくさんの生徒との出会いがあり、そして数々のエピソードがありました。
中学生同士の妊娠問題やまたは不良達による学校での立て籠り事件など、現実の社会問題にも繋がるテーマで世間の関心を集めました。
ドラマではその度に金八先生が先頭に立ち、生徒たちを守る姿が放映されていました。
本来ならば、生徒が犯した過ちに教師として叱るのが常識と思われている中で、「金八先生」はどうするんだろう?
その言動に注目していると、「金八先生」は叱ることなく、むしろ生徒に対し優し過ぎるくらいに接していました。
現実社会では生徒への体罰が今より寛容な時代だった時に、生徒のささくれた心を包み込むような教師の対応に多くの視聴者が感動したと思います。
生徒の為に泣いたり笑ったり、そして悲しんだりと本当に人として素晴らしい教師だと思いました。
そして「金八先生」と言えば、やはり国語の担当とあって、その言葉により生徒を引き付けたりまたは魅了する力がありました。
「金八先生」が発する言葉の意味を子供ながら私もまた考えさせられました。
「人という字は…」
大人になった今でも心に宿る言葉を数多く残してくれた「金八先生」に感謝です。