夏の風物詩の1つと言えば『風鈴』ですね。
「ちりんちりん♫」
この音色に癒やされる人も多いのではないでしょうか?
あのきれいな音色を聞くだけで、少し涼しくなったような気がするのも不思議です。
連日の猛暑で大変だと思いますが、風鈴の音で日本の夏を感じながらリラックスしたいものです。
ところで、今回はこの“風鈴”について取り上げてみたいと思います。
皆さんは風鈴について、こんな疑問をもったことはありませんか?
風鈴の音を聞くと「なぜ癒やされるのか?」また「なぜ涼しく感じるのか?」
ね?不思議ですよね?
この2つの疑問をこれから解消していきたいと思います。
まずは「風鈴の歴史」について
風鈴の起源は中国とされています。
元来、風鈴は中国では占いや厄除けの道具として用いられていたそうです。
それが仏教と同時に日本に伝わり、寺院などで使われるようになったのは奈良時代とされています。
当時は「風鐸(ふうたく)」と呼ばれ、青銅製だったので今よりずっと重くて大きな物でした。
現代のようなガラス製の小さな風鈴が出回るようになったのは、江戸時代からと言われています。
その当時、ガラスは作る技術が必要なことから貴重で大変に高価な品だったようです。
風鈴の効果「癒やし効果」「清涼効果」など
風鈴の『癒やし効果』
「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「1/fゆらぎ」とは、規則正しい音と不規則な音が丁度良いバランスで調和している状態のことです。
自然の音にも存在する音なのですが、例えば波の音や川のせせらぎ、小鳥のさえずりなども同じです。
それらは耳にすると、脳内に「βエンドルフィン」や「セレトニン」といったホルモンが分泌されるので私たちが心地良く感じるのです。
多くの人が風鈴の音を聴いて「リラックスしている」と感じるのはこのためです。
風鈴の『清涼効果』
「風鈴の音を聞くと涼しく感じる」
そんな方が多いと思いますが、それは気のせいではありません。
実際に風鈴の音を聞くと体温が下がることが証明されているのです。
その根拠の1つとされているのが、海外で公式に行われたある実験です。
被験者が1つの部屋に集まった中で風鈴の音を聞き、しばらく経った後で
「室温が何度に感じたか?」という質問しました。
被験者の多くが実際の室温よりも低く回答したそうです。
驚くのはここからで、サーモグラフィーで実際に体の表面温度を計ってみた際、風鈴の音を聞く前よりも体温が下がっていたのです!
これは脳が風鈴の音で「風が吹いている」と錯覚するために「体温が下がる」と末梢神経に命令を出すことで起こる現象だそうです。
実際の温度は変わらないのに、脳の錯覚で本当に涼しくなってしまうなんて人間の身体って凄いですね。
ちなみに、風鈴を知らない人には風鈴=風が吹いているというイメージがないので、この方程式は成立しません。
古来から風鈴に慣れ親しんできた我々日本人の場合、上記のイメージが強いハズなので、より清涼感を感じることでしょう。
エアコンや扇風機と同様に、体温を下げるために風鈴を準備するのは理にかなっているというワケですね。
風鈴は『邪気払い』でも使っていた
中国では音によって、家の中に入ってくる邪気の侵入を防ぐことができるとされていました。
風水でも風鈴の音色には「邪気を払う力がある」とされています。
特にその効果を高めるには『玄関』に吊すと良いそうです。
玄関の扉に吊すことで、風がなくとも開閉の度に音が鳴るからという理屈です。
おわりに
今回は風鈴の歴史やその効果について取り上げてみました。
昨今、住環境や生活様式の変化などで特に都心部では風鈴の音を聞くことが少なくなりました。
奈良時代に中国から渡ってきた風鈴は、その形や用途を変えながら現代まで長い年月をかけて日本人に愛されてきました。
平均気温が昔より上がった今では、ついエアコンに頼ってしまいがちな私たちですが、心まで癒やしてくれる風鈴はやはり特別な存在だと思うのです。
一昔前の夏の思い出を振り返りながら、風鈴の音色にじっと耳を傾けるのもたまには良いのかもしれません。
「チリンチリン♫」