筆者は以前、ブラック介護施設で5年間働いていました。
その会社は「バイト並みの月給」「不当労働の強制」「パワハラ」「脅迫・暴力行為」など言い出すときりがない程の劣悪な環境でした。
入社1年目で改善の兆しがない会社だと確信した筆者は退職願いを社長に出しました。
当時の社長はまともに応じず、筆者を個室に軟禁し退職の意思を撤回するよう迫ったのです。
さんざん脅迫された挙げ句、残留せざるを得ない精神状態に追い込まれました。
圧倒的な無力感と絶望感、「もう自分は一生、ここから逃げれない…」と苦悩し、ギリギリの精神状態に追い込まれていました。
その後、友人の支援もあり諦めずに退職願を出し続けた結果、通算5回目となる『退職願』をようやく社長に受理させたのです。
世の中には、筆者のようにブラック企業を辞めれずに苦しんでいる人はまだまだ多いと感じています。
「生活のため」「上司が怖くて」等、辞めれない理由は人によって異なるでしょう。
とはいえ現状を抜け出す努力をしなければ、将来、自分自身が必ずや後悔することになります。
この記事を読んでおられる方の中には、今のブラックな職場から逃げたいと考えている人がたくさんおられると思います。
筆者は少しでもそんな人たちの力になりたいと考えています。
「自分のためにもうちょっと頑張ってみよう」
そう思って頂けたらこんなに嬉しいことはありません。
当時のエピソードを振り返って今回の記事をかきました。
目次
ブラック企業を辞めよう:『退職願』の出し方
「絶対に退職する」という強い覚悟が大事
辞め方はどの職場でも一緒で、『退職願』を出せば良いんです。
ただ、それがブラック企業の場合だと簡単にはいきません。
一番大事なのは
「絶対に辞める!」
という強い覚悟です。
「辞めさせてくれるかな?」
という気持ちでは最初から負けています。
会社は安い賃金で思い通りに動く社員を辞めさせたくないワケですから、引き留められるのは当然です。
引き留め工作や嫌がらせもあるでしょう。
一方で私たちには『職業選択の自由』があり、法律で守られていますから存分に利用すれば良いのです。
「辞められて当然」
と考えるべきです。
上司には相談しなくて良い
『退職願』を提出する際、事前に退職の意思があることを上司に相談するべきだと言う人もいます。
ですが、そんな慣習は退職の決心を鈍らせるだけで何の利益にもなりません。
会社側はパワハラなどの違法行為を散々やっておきながら、社員だけ「慣習」や「常識」「社会のルール」を持ち出してくるのもおかしな話です。
事前に相談なんて事をしたら100%引き留められるし、直後から陰湿なパワハラが加速するでしょう。
上司と言っても所詮は他人です。
たとえお世話になった上司であっても、雇われている以上は「会社側」の人間なのですから心を許すことは止めましょう。
もし会社側からあなたを引き留めるように命令されたら、上司は断れないからです。
上司との面談を避けられない場合:会話を記録に残す
上司との面談が避けられない場合もあるでしょう。
その際は、会話のやり取りを録音しておくことをオススメします。
後で言いがかりをつけられる可能性も踏まえて、自分が不利な立場にならないように策を講じましょう。
勘の鋭い上司で(筆者の場合がそうでした)録音がバレる可能性がある時は、会話のやり取りを記録に残しておきましょう。
後々、当時の状況を説明する際、記録に残しておいた方が圧倒的に信用されます。
また「記録」をつけるメリットとして、
・自分の受け答えに不自然な点がないか?
・話の筋が通っているか?
これらを後で冷静に判断できるという利点もあります。
会社側に揚げ足を取られないように、自分の発言一つ一つをきちんと「説明できる」よう備えて下さい。
「勝つ」ための鉄則です。
これをやると自分の発言にも自信がもてるようになってきます。
『退職願』を提出した後の心構え
『退職願』を無事に提出したからといって安心してはいけません。
上司はひとまず“預かっただけ”で、チャンスがあればひっくり返そうと考えてるかもしれません。
あなたに対して優しく声を掛けたり、過去の労をねぎらってきたり急に「良い上司」を演じることもあります。
それが本心で言っているのか?単に引き留めたいだけか?考えるだけ無駄な労力です。
情にほだされて退職を取り消したら後で後悔することになります。
「辞める」という気持ちは最後まで貫徹しましょう。
もし『退職願』を受理されなかったら?
『退職願』を出す際に退職日を必ず記入して下さい。
あなたが決めて良いんです。
自己都合ですから。
もし、会社側が退職日を少しでも引き延ばそうとしてきたら、
「会社都合ということでよろしいですか?」
と言い返して下さい。
それでも話をうやむやにしてきたら、『退職届』を作成し提出しましょう。
「退職願」のように伺いを立てる必要もありません。
淡々と渡した後、指定した退職日を最後の出勤日にしてそれ以降は出勤しないで下さい。
会社側から電話が来ても取る必要はありません。
ブラック企業の辞め方【行政機関を使う】
『労働基準監督署』に相談する
『労働基準監督署』は国が管轄する行政機関です。
企業が法律に違反していないかを監督する機関になります。
「違法な長時間労働」や「残業代の未払い」「休日をくれない」など訴えれば相談にのってくれます。
筆者も過去に所轄の労基に相談した事がありました。
「とりあえず話は聞いてくれた」という印象でしたが、“チリも積もれば…”と言う言葉の通りやる意味はあります。
必ず対応してくれた担当者の名刺をもらっておきましょう。
「労基に相談している」
という証明にもなり、会社側からすれば《行政機関も相手にしなければいけない》というプレッシャーを与えることにもなります。
あなたが会社より少しでも精神的に優位に立つことで、退職しやすい状況をつくりましょう。
訴える内容は曖昧にせず、明確にしておくことをオススメします。
『労働局へ相談する』
『労働局』はパワハラやいじめ問題に対して相談にのってくれます。
『労働局』は、労働問題を包括的に扱っている機関です。
相談窓口も設置していますし、昨今の「ブラック企業」によるパワハラ問題が世間を賑わしてから、その存在が注目されています。
ぞんざいな対応は滅多にされないと思いますので、是非、一度足を運んでみて下さい。
あなたが「相談に行く」という行動に意味があるのです。
いくら会社に不満を持っていても、外に向けて発信しなければ会社側は「不満をもっていなかった」といくらでも事実をねつ造できます。
遠慮すると損をしますので、関係機関をどんどん巻き込んで下さい。
労働局は各種の労働問題に取り組むのが存在意義なので『自分を守る手段』として活用しましょう。
労基と労働局に相談に行けば最強!と個人的に思っています。
ちなみに相談窓口は夜間や休日にも電話で相談にのってくれます。
詳細は確認してみて下さい。
ブラック企業の辞め方【心療内科を受診する】
心療内科を受診して『診断書』をもらう
職場で強いストレスを受けている方は、おそらく「不眠」「食欲不振」「消化器系の症状」など身体に様々なサインが出ていると思います。
「おかしいな」と感じて内科に行くケースもあるかもしれませんが「異常なし」の診断でしたら『心療内科』の受診をお勧めします。
「心療内科」の受診は敷居が高く、近寄りがたいイメージをもっている方が多い印象です。
筆者もそうでした。
でも全くそんな事はありません。
むしろ「ストレス社会」と言われる時代ですから、「うつ病」などは『心の風邪』と言われるほど身近な病気になっています。
実際、筆者が診断を受けたことを職場で公表したら、「実は私も薬をもらっていて…」と筆者にアドバイスをくれた同僚が数名いました。
もはや世間や友人に隠さなくてはいけないような珍しい病気ではないのです。
『心療内科』を受診すると、まずカウンセリングを受けます。
その際、仕事のストレスが大きく日常生活に支障が出ていることを申し出て下さい。
「うつ状態」「適応障害」などの診断がつくと思います。
その後、医師から診断書を作成してもらい会社に提出することで「休職」扱いとなり会社を休むことができます。
筆者も経験ありますが、この過程は超簡単です。
自分は本当に「うつ病」なのか?気持ちの問題ではないか?
とあなたが素人判断するのは危険ですし、心の弱った自分が判断できることでもありません。
当事者だと客観的な判断ができないので、専門医にまかせましょう。
恐いのは本人が自覚しないまま症状が進行しているケースです。
筆者の場合、「記憶力・注意力・判断力の低下」といった症状が、仕事に支障が出るほどのレベルで出現しました。
電話を切った直後に自分が何の会話をしていたのか思い出せない状況…これでは仕事になりませんよね。
親しい先輩と一緒に食事をした際に「お前、言動がおかしいぞ?」と指摘されて受診を勧められました。
先輩から言われなければきっと受診することはなかったでしょう。
「休職中」にゆっくり社会復帰を目指そう!
診断書を職場に提出した後の行動は特に大事です。
働く事に嫌気がさしてそのまま引きこもるケースもあるからです。
何か意図があって引きこもるなら別ですが、自己肯定感が低いまま社会との繋がりを遮断すると幸せな人生から遠ざかります。
会社のためにあなたの未来を捨てる必要は全くないのです。
休職したらしばらくの間、たっぷりと寝て体力を回復させましょう。
そして、天気の良い日にお勧めしたいのは「散歩」です。
日光を浴びながら歩くだけで少しずつパワーが充電されていくのが分かりますよ。
是非、試してみて下さい。
地元を離れて旅行に出掛けるのもお勧めです。
山に登って自然からパワーを貰うのも1つの方法です。
休職中は「○○をしなきゃいけない」というルールはありません。
ゆっくり心と体を労って、次のステップに進むための準備をすれば良いのです。
「次のステップ」とは『就活』です。
「生きる力」が充電されたと実感したら、今より良い環境の職場を探していきましょう。
これであなたは、前に進むことができます。
ないと思いますが、間違っても元の職場に戻ろうとは思わないで下さいね。
ブラック企業の辞め方【味方を増やす】
『家族』を味方にする
ブラック企業で自分が辛い思いをしていても「親に心配かけたくない」と思っちゃいますよね?
でも、同居されてるなら、おそらくご両親は気付いていますよ。
あなたの普段と違う様子に気付き心配し、心を痛めているハズです。
両親に心配をかけたくない気持ちは分かりますが、多くの親は常に子供の幸せを願うものです。
思い切って今の自分の状況を相談してみてはどうですか?
親身になって聞いてくれる家族の存在は、あなたにとって大事な存在です。
『友人』を味方にする
筆者がブラック企業で消耗している間、体調面などを心配してくれる友人がいました。
筆者から進んで相談することはありませんでしたが、筆者が辛い時でもこれまで通り変わらず接してくれました。
会社を辞めずに「まだ頑張る」なんて言ってる筆者を心配してくれたり、自分の職場に来るよう誘ってくれたりもしました。
ブラック社長は意図的に「自分の言うことを聞く社員」を作ろうとしていたので、自分と違う意見は聞かない人でした。
今思うと、心理学の手法もあり、宗教のマインドコントロールも意識的に使っていたように思います。
会社にいけば社長の言うことが全てでした。
そんな状況でも、1年間で1~2回は友人と電話で話していたので、その時にかけられた言葉の全てが自分の励みになりました。
自分の現状を見つめ直す機会にもなり、それが最後まで筆者の心の支えになったのです。
ブラック企業の辞め方【退路を断つ】
『次の就職先』を決める
退職の意思を告げた後、社長や上司から色んな嫌がらせを受ける可能性があります。
実際、そんな日々が続くと
「やっぱり辞めれないのかな」
「自分が退職を取り下げれば、これ以上苦しまなくて済むのかな..」
というネガティブな感情が顔を出します。
筆者もそれが理由で4回も失敗しています。
ですが、退職を取り下げたとしても状況が良くなるわけはありません。
待っているのは、今まで以上の辛辣な言葉や嫌がらせです。
筆者の場合、5回目の退職願を出す前「これで辞める!」と誓った際には既に次の就職先を決めてました。
そこに至るまで、就活は困難を極めました。
5年間で平日休みが1日も取れなかったことも理由の1つです。
社長の監視の目も厳しく、筆者の思考や態度の変化は細かくチェックされていました。
社長の指示で上司や同僚が筆者の監視役となり、全ての情報が筒抜けだったのです。
そんな状況で次の就職先を決めれたのは、前述した友人のサポートがあったからです。
その友人が自分の勤めている会社の上司に筆者を紹介し、また土曜日であったのに異例で社長との面談をセッティングしてくれたのです。
その場で幸いにも採用内定をもらい、その事がブラック企業を辞める大きな後押しになりました。
《今の会社を退職しないと、採用してくれた社長を裏切り友人の顔を潰すことになる》
そういった後戻りできない状況を作ったことで、もはや揺らぐことのない信念ができました。
退職するまでの間は『体調管理に配慮しよう』
体調管理は何よりも大事です。
せっかく退職までの道筋を立てても、体調を大きく崩すような事があれば支障が出て来ます。
最低でもご飯を食べれるくらいの気力はもっていないと、体力が落ちて免疫力も低下してしまいます。
強い意思を持ち続けるにはある程度の体力が必要なのです。
経験上、最低でもご飯の摂取量はそれまでの半分以下にはせず、ジュースやアイスなど体を冷やすような物はなるべく控えた方が体調をキープできます。
連日、強いストレスと戦っていた当時は、呼吸が急に苦しくなったり、排尿障害などの症状が起こっていました。
免疫力が落ちると、その人の弱い部分から先に壊れていきます。
食欲が湧かなくても、「これなら食べれる」という物を見つけて体力を維持していきましょう。
個人的には“人参”をたくさん食べていました。
おわりに
ブラック企業を辞めるのは簡単ではありません。
会社側は辞めさせたくないわけですから、色んな手段を使って嫌がらせをしてくるケースが普通です。
筆者も散々やられましたが、やってる事は子供のいじめと何ら変わりません。
それでも「退職」して呪縛から解放されると、心がとっても軽くなります。
毎日目にしていたハズの景色がまるで違うのです。
家の玄関にある植え込みの葉っぱも実にキレイに見えました。
葉っぱの一枚一枚が色濃くハッキリと見えます。
「あんなに緑が濃かった!?」
とビックリする程です。
それほど心のゆとりを欠いていたのでしょう。
“味を感じなかった”ご飯も、「美味しい!」とじっくりと味わうことができるようになりました。
いつも通り家でTVを観ながら、家族の会話を聴いているだけでなぜか涙が出てきます。
生きていることを実感します。
筆者は色んな助けがあって、おかげさまで今はパワハラとは無縁な環境で働いています。
当時の筆者を知っている人たちは例外なく「辞めて良かったね」と言ってくれます。
苦しい状況の中、人の手を借りるのは恥ずかしい事ではありません。
一人で全部解決しようと思わず、周りの人に助けてもらいましょう。
話を聞いてもらいながらパワーと勇気をもらって下さい。
そして、退職するまでの道のりをイメージしてみて下さい。
辞めた後の人生はきっと今より幸せなものになってるハズです。
どんな状況でも希望を捨てずに行動すれば、必ず今の呪縛から解放される日が来ます。