今回は、海でよく見かける消波(しょうは)ブロックについて、その役割を簡単にご紹介したいと思います。
消波ブロックと言うよりも、『テトラポッド』と言う方が馴染みやすいかもしれません。
この『テトラポッド』は、なぜ海や川に置かれているかお分かりでしょうか?
「う~ん、何となく分かるけどうまく説明できない」
と答えた人!
この夏、お子さんから同じ質問をされた時に、即答できるようおさらいしてみましょう!
テトラポッドの役割は主に2つ
海岸を波の浸食から守る。
波のもつエネルギーはとてつもなく大きいものです。
海岸沿いに多数の大型テトラポッドをかみ合わせて置くことで、
押し寄せる波のエネルギーを弱めて岸を守る
という大事な目的があります。
テトラポッドがなければ波のエネルギーが岸に直接ぶつかることになります。
何度も波がぶつかることで、砂浜の砂がどんどん沖に流されてしまい、私たちの住む陸地がどんどん削られていくことになります。
私たちが生活している陸地を守るために、テトラポットが置かれているというワケです。
魚礁になる
海水浴に言った際に、テトラポットの周辺を潜って海中を見たことはありますか?
沢山の魚が泳いでいたのではないでしょうか?
テトラポッドの片側は波がなく穏やかな水域のため、流れを好まない多くの生き物が集まりるんです。
また、魚だけではなく太陽光が降り注ぐので、テトラポッドの表面には海藻が発生し貝類もたくさん付着します。
海藻や貝が生息していれば、それらを食べる蟹やエビなども集まり生態系が完成します。
テトラポットがあるだけで豊富な生物が住む環境になるのです。
テトラポッドの値段は知ってる?
テトラポッド自体は販売していないため、レンタルが一般的です。
テトラポッドの型枠をレンタルして、現地で型枠の中にコンクリートを流します。
コンクリートはレンタルした側が負担するシステムです。
大きさにもよりますが、料金は50~60万円くらいが相場のようです。
高い or 安い!?
テトラポッドはとっても重い!
テトラポットの重量ですが、多くの人はきっと見当もつかないと思います。
その重さはなんと….
20~80トンです!
場所にもよりますが、海では大きな波のエネルギーに対抗するため1つでも20~80トンの重さです。
それだけ重くないと、波の勢いに負けてしまうのです。
そんなに重いのに、波の力と地形によって最初に置いた場所から動いてしまうのですから驚きです。
テトラポットはかみ合わせて置いてるので、1つが動くと他のブロックもちょっとずつ動いてしまいます。
そのため、大きく崩れる前に定期的に積み直しをしています。
あんなに重くて大きな物を動かすので、重機を使うとは言え大変な作業ですね。
テトラポットの周囲で遊ぶのは危険!
サーファーや釣り人が、「テトラポッドの隙間に落ちて亡くなった」
という悲しいニュースを聞くことがあります。
テトラポッドに打ち付けられる波や豊富な生物が見たいからと言って、テトラポットの周囲で遊ぶのは危険ですから止めましょう。
テトラポットの狭い隙間に落ちてしまうと、自力で脱出するのは困難です。
絶えず波がやってきてはテトラポッドの隙間に凄い勢いで流れ込んできますし、その流れの向きや水量も一定ではありません。
まともに呼吸ができないまま、堅いコンクリートに体を打ち付けられることになり命にかかわります。
一方で、テトラポッドで『穴釣り』を楽しむ人がいるのも事実です。
「カサゴ」や「メバル」「アイナメ」などは釣って良し、食べても良しなのでファンが多い魚です。
かといって、自分や大事な人たちの命をかけてまでやることか?
ということを十分に考えて行動しましょう。
それでも釣りを楽しみたいという方は、立ち入り禁止区域を避けてちゃんとルールを守って楽しみましょう。
ライフジャケットは最低装備です。
おわりに
今回は、【テトラポッドの役割】について取り上げました。
海に行った際に何気なく目にしていた『テトラポッド』には大事な役割があったんだと考えると、ちょっと見る目が変わりそうですね。
一部の愛好家の中には『テトラポッド』が好きすぎて、自分でミニチュアを作ってしまう人もいるので、楽しみ方は人ぞれぞれだと感心します。
これから技術の発達と共に、『テトラポッド』も姿形が変わっていくのでしょうか?
個人的に密かな楽しみになっています。